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天來大先生は書の大家でありました。中国道教協会から招待を受けて中国に行かれた時も、その書の迫力に、中国の書家も大変驚いていたそうです。そして「全く筆法にとらわれない、素晴らしい迫力、気の固まりの書は初めて見ました」といたく感動されたそうです。
その時に書かれた「人間は病気では死なない」の書は、全真教発祥の地中国山東省昆山に日本の修行者の書として建立され今も修行の山から世界のタオイストたちを見守っています。
允可書を書かれる天來大先生
聖経山(昆崙山脈の東南に位置する峰)に建つ天
來大先生の石碑。
平成三年、大先生が「中国道教全
真派文登国際研討会」に出席をされたその年の十月
に記念碑が建てられた
また天來大先生は、動功術の允可書もすべて直筆で書かれており、年末の絵馬に入る書などは、気そのものという筆さばきでした。
現在も本やパンフレットなどに使用している「道」の書は、アメリカのデザイナーにも「この書には特別な素晴らしい気がある」と賛嘆されました。
日本道観の専用車に入っている、“「気」の導引術”の赤い「気」も天來大先生の書です。とても目立ち、その書に引かれて、多くの人が立ち止まり、
「これは何を教えているのですか?」
と声をかけてこられるのです。
文字の意味がわからない人にも、そして通りすがりの人にも、天來大先生の書は不思議な波動を伝えているのです。
天來大先生の書かれた「道」の書
また天來大先生の「気の書道講座」では、会員一同が天來大先生から褒められたことがありました。
「うん、なかなか筆を持つ姿が良い。背筋が自然に伸びて傾いていない。どんな書道塾に行っても、君たちのように筆を持っている姿が全員美しいということはなかなかない。それは君たちが一生懸命導引術をして、からだが健康で動きが自然だからなのだよ」と。
書のほうは、人それぞれいろいろなレベルの人がいましたが、姿勢を褒められたことで皆大喜びでした。
芸事には基本の姿勢が大切で、導引術、動功術を修行すると、すべての芸事が上達するのだと、たびたび教えを受けました。
余談ですが、ゴルフやスキーについてもご指導を受けて、その通り、ゴルフのスコアが伸びたとか、スキーが上達したなど、また生け花やお茶も上達して師匠に褒められたという話は、日常のように体験談で語られています。
天來大先生の「気の書道講座」
大きくはみ出すような字を書いた人には、
「おまえは家でずいぶん威張っているな〜、かかあ天下だな!」
そして、小さく硬い字を書いた人には、
「こんなに縮こまって、どうした。何を硬くなっているんだ。もっと伸び伸びと楽しく生きてゆけぃ」と、そのご指導は生き方
そのものでした。
体が曲がっていると書も曲がる。書にはその人の健康や人生がそのまま出ていると。だから日頃から、無為自然に生き
ることが大事なんだよ。そうおっしゃって、優しく微笑まれた天來大先生のお姿が今も目に浮かびます。
天來大先生は書を通して、常に無為自然の生き方を説かれ、そして残された書は今でも私たちにその生き方を伝えているのです。
日本道観現道長 早島妙聴