「なんであの人は、いつも儲かるようにできているのだろう」と不思議に思うほど、お金が転がりこんでくる人がときどきいるものだ。
別にどうといって特別な努力などしていないようなのに、どこからともなく、お金が入ってきてしまう。まるで向かうところすべてに、金の山があるような人である。
私の知人で東京の日本橋の商店街に住むA氏がそのタイプだ。だいたい、ある程度の資本があると、なんとかその資本をふくらませようとがんばるものだが、A氏にはさっぱりその気がないのである。
それなのに、どこからともなく金が湧いてくる、正確にいえば、金が寄ってくる。かねがねその点を不思議に思っていた近くの銀行の営業マンが、いろいろと考えてみたあげくに思いあたったのは、ただ一つ、「楽しい人」という点たった。
Aさんはじつに楽しい人で、周囲には笑いが絶えない。あまり上手でないダジャレなどをとばしたり、間の抜けたところがあったり、Aさんと会っていると、何回も笑わされてしまうところがある。
これが一つのカギなのである。明るく楽しい人のまわりには、常に人が集まるもので、人が集まれば情報が集まる。もちろん、情報には、役に立つものもあれば、役に立たないものもある。しかし、ネアカな人といっしょにいると、自分の胸の中におさめておこうと思うような儲け話まで、ついついしゃべってしまうものではないか。
ガツガツと儲け話ばかりに目をギラギラさせているような人には教えたくないが、あの人になら、チョッピリ教えてもいいというふうに人に思わせてしまう雰囲気をAさんはもっているのである。
人間と同じように、お金もまた、「明るくて楽しいところ」が大好きなのだ。
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