「冷えは万病の元」ということわざを、「はじめに」で申し上げましたが、病気については、「一億総病人時代」という言葉をよく耳にします。
これは、今や、なんらかの病気にかかっていない人はほとんどいない、という意味でしょう。
この言葉からもうかがわれるように、現代人は誰でも、「病気にはなりたくない」と思いながらも、じつは「人間なのだから、病気になるのは当たり前だ」と思っているのではないでしょうか。
もし「この十年来、風邪薬も飲んだことがない」と話す人も、「ふーん、丈夫(じょうぶ)だね」とか「珍しい人ね」などといわれることでしょう。
それほど、病気にかかることは自然なことであると、ふつう考えられているのです。
しかし、本当は、そのほうがよほど問題です。だいたい、病気にはかからないのが当たり前であって、かかるほうが不自然なのです。
しつこい冷えも完全にとれる!心身の「とらわれ」「こだわり」を「気のトレーニング」で解放する!誰にでもできる実践的な「行法」、足の指の行法、手の指の行法、按腹の行法で冷えしらずになれる!!
「私って、いつも手足が冷(つめ)たくて、みんなからびっくりされるの」
「足が冷(ひ)えているから、寝るときでも靴下をはいているわ」
「お風呂(ふろ)に入っても、出たらすぐに冷たくなってしまうのよ」
これらは、「冷え」のごく一例です。
そうした冷えの悩みを抱(かか)えている人から、私はよく相談を受けます。女性だけではありません。男性からの相談も少なくありません。
冬になると、手足が冷えて眠れないという人もいます。こうした人たちは、いわゆる「冷え性(しょう)」です。
冷え性の人は、いくら厚着(あつぎ)をしたり、部屋の温度を上げたりしても、からだ(身体)の内部が冷えてしまっているので、どうしようもありません。冷えは、もちろん、冬場だけの問題ではありません。真夏なのに厚手(あつで)の下着(したぎ)が手放せない、という人も少なくありません。
たとえば夏のオフィスの冷房は、デスクワークで部屋に閉じ込められている人にとっては大敵(たいてき)です。冷房は、噴出口から冷気が出るので、オフィスのデスクの位置によっては、肩や首が冷気に直撃される場合があります。
これは通勤電車の中でも同じです。このために、からだを悪くする人も多いはずです。オフィスの冷房がいやなあまり、「夏のあいだだけは、会社を休みたい」という人もいます。
からだを冷やしすぎると、夜に眠れなくなったりして、体調を崩しやすくなります。血行(けっこう)が悪くなるため、腰痛や肩こり、手足のしびれ、むくみも起きます。生理不順などの悩みにつながるケースも少なくありません。
このように、日常生活で生じた冷えは、知(し)らず識(し)らずのうちに体内に宿(やど)る傾向があります。リューマチ、神経痛といった病気は、ほとんどの場合、こうした冷えが原因となっています。「冷えは万病(まんびょう)の元(もと)」(冷えはあらゆる病気の原因になる)ということわざがあるほどです。
気温と健康の関係は、毎年発表される全国百歳以上のお年寄りの居住地を見ても明らかです。
長寿の理由としては、食生活も大きな関係があることがわかっていますが、温暖な気候の土地というのも欠かせません。たとえば、沖縄は長らく長寿県の代表として有名でした。
また、さまざまな国に移住した日系人の中でも、ハワイ在住の日系人は、長寿で知られていました。
このように、冷えは、からだにさまざまなトラブルをもたらす元凶ですが、「気のトレーニング」を実践すると、冷えをとることができるのです。そして、からだと心が元気になり、しかも若返ってくるのです。
つまり、「気のトレーニング」は、冷えをとり去る秘訣(ひけつ)ということにとどまらず、健康と若々しさの秘訣なのです。その秘訣を実践することによって、これまで多くの人が、心身がととのい、若々しくなり、そして人生が大きく変わってくることを証明しています。
「気のトレーニング」の根本にあるのが、「TAO(タオ)(道どう)」と「気」です。
「TAO」と「気」は、いま、世界中で大きな注目を浴びている、とても古くて、そしてとても新しい存在です。本書では、「TAO」と「気」の、その悠久の実践哲学の意義、そしてその驚くべきパワーの秘密を明らかにしていきます。
この本を通じて、冷えをはじめとする、さまざまな心身の悩みを解消し、元気が湧いてきて、からだを若返らすことのできる、驚異の「気のトレーニング」の魅力に触れていただきたいと存じます。
そして、本当の健康とはどんなものなのか、そして本当の幸せな生き方とはどんなものなのか、ということを知って、明るい人生を開いてください。
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