私の提唱する導引術は、中国古来の健康法であると同時に、人相、つまり人の顔や体型、クセを見ることについても教えている。
人相といっても、街角などでよく見かける「人相見」とは少し違う。導引でいう人相は、顔つきだけでなく、全体の体つきやクセまでを対象としている。
人の顔やクセ、体型などをじっくりと観察してみると、じつに千差万別である。同じ顔つき、体つきの者はふたりといない。よく似た人もいるが、じっくりと見ればどこか違いが見えてくるものだ。
こうした観察はおもしろい。その人の性格や人生観ばかりでなく、健康状態まで見えてくるからだ。
よくない顔つきや体型、クセを持っている人は、かならずといっていいほど問題を抱えている。「胃腸が悪い」「スタミナがない」「体が弱くて実力が発揮できない」など体に不調を訴えている人もいれば、「不安でたまらない」「人と上手に話せない」「人間関係がうまくいかない」などといった心の悩みを抱えている人もいる。才能はあるし、チャンスにも恵まれているのに、それを生かすことができないという不幸な悩みを抱えているケースも少なくないのだ。なぜだろうか。
導引でいうよくない人相(凶相)とは、邪気(悪い気)の多い相のことである。「気」とは、目に見えない自然のエネルギーのことだ。気の流れが滞ってしまうと、悪い「気」となって体内にたまり、不調の原因となるのである。過労やストレスなどで体の調子がくずれると、体の一部、たとえば内臓や関節などに気が滞ってしまう。これが邪気となって、病気や不調の原因となっているのだ。
こうした邪気が多くなると、その兆候は顔つきや体型、クセにも表れてくる。しかも悪いことに、そうしたよくない顔つきや体型、クセなどがさらに悪い方向へと導いていることが多い。だから心や体に異常のある人は凶相となり、一目で見抜くことができるのである。
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