「冷えは万病の元」ということわざを、「はじめに」で申し上げましたが、病気については、「一億総病人時代」という言葉をよく耳にします。
これは、今や、なんらかの病気にかかっていない人はほとんどいない、という意味でしょう。
この言葉からもうかがわれるように、現代人は誰でも、「病気にはなりたくない」と思いながらも、じつは「人間なのだから、病気になるのは当たり前だ」と思っているのではないでしょうか。
もし「この十年来、風邪薬も飲んだことがない」と話す人も、「ふーん、丈夫(じょうぶ)だね」とか「珍しい人ね」などといわれることでしょう。
それほど、病気にかかることは自然なことであると、ふつう考えられているのです。
しかし、本当は、そのほうがよほど問題です。だいたい、病気にはかからないのが当たり前であって、かかるほうが不自然なのです。